朱銘 1938~
苗栗県通霄鎮の貧困な家庭に生まれ、1953年に父親の決定の元で鎮(町)にある媽祖廟の雕刻師「李金川」の下に弟子入りし、彫刻と絵画の基礎を学ぶ。
1955年に師の下から巣立ち、故郷の苗栗に戻って創作を始めましたが、1968年に彫刻家「楊英風」に弟子入りして初めてその彫刻創作の路を歩み始めました。
朱銘の初期の彫刻作品は「牛」や「放牧する少年」等郷土をテーマとしており、その後に中国の哲学を融合した「太極」シリーズの作品を創作しました。
これは朱銘が世界に名を馳せるきっかけとなった重要な作品でもあります。
「太極」は中国伝統文化のエッセンスを集めたもので、宇宙の起こりから命のあり方、身体の調和を表します。
朱銘は木或いは青銅等の異なる素材を用いてはいますが、この複雑且つ深遠な哲学を現代の具体的な芸術言語へと転化することに成功しました。
80年代から今日に至るまで、朱銘は人間を描いた「人間」シリーズをその主要な創作テーマとしました。
そのきっかけは1981年に氏が単身ニューヨークに渡ったことで、これが氏の国際視野を広げることとなったのです。
その一年後から彼が創作を始めた「人間」シリーズは、彼の生涯を通して最も多くの賞賛を集めた代表作となりました。
1999年に朱銘は台北県金山郷にて「朱銘美術館」を設立し、約11ヘクタールに及ぶ敷地内に多くの朱銘の作品をコレクションしており、2000年には日本東京クリエイション大賞の海外賞を受賞しました。